第4章 約束

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甘美な感覚と押さえがたい衝動がない交ぜになり、夢中で腰を優志の顔に押しつけ,中で爆ぜた。   久しぶりに味わった全身が痺れるような快感だった。ベッドの上では全てを自分でコントロールしていたが,今の行為は完璧に優志にコントロールされていた。 固く瞑っていた目を開いて腹を見下ろすと,優志が満足そうに無邪気に見える表情で見上げていた。先週は自分のものを含んでえづいていたのに,今日はどうだ。信じられない思いがした。 「すごい…,優志。俺,優志の初めての男なんだよな?」 「学習能力が高いと言って」  髪の毛を乾かし合って,ブライスのベッドでふたり丸まって横になった。疲れと充足感ですぐに眠気が襲ってきた。  ブライスが横向きの優志を背中から抱き込み,髪の毛やうなじにキスをしていると,優志がことん,と眠りに落ちるのが分かった。ブライスは得も言われぬ幸福感で一杯になり自分も瞼を閉じた。    静寂の中,玄関のドアの微かな開閉の音を聞きながら,ブライスは心地よい眠りについた。  翌日ゆっくり起きたふたりは,ブライスの車で寮に向かい,遼と荷物を乗せてローレルハーストの北にあるのショッピング・モールに向かった。 「ブライスと話し込んでて寝ちまうなんてなぁ」 「あぁ,疲れてたって言ったろう?」  にやけ顔にならないように気を付けて優志が言った。モールのバーガーショップで2個目のハンバーガーに取りかかっていた。テーブルには大盛りのポテトが乗っている。 「リョウ,優志はいつもこんなに食べるのか?」 「…そうは思わないけど,今日はすごいな」  少し酒が残っていた遼は,アイスコーヒーと小さなパンケーキを注文して,それすらほとんど手が付けられていなかった。 「君たちふたりで準備したら,どんなディナーになるのか…楽しみというか…」 「ん,任せて。ブライスを唸らせる日本の味を提供するから!」  それを聞いて,あれは日本の味っていうのかな,と遼が首を傾げた。  優志と遼が必要とする材料は,全てモール内のスーパーで手に入った。その他にも日本への土産になりそうな小物を物色してかなりの時間を費やした。
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