第4章 約束

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坂を下る。坂の下に湖が広がっている。夕陽に包まれ優しく輝いている。まるでふたりを待っているかのようにそこにある。 「優志,日本のカレーって初めて食べたけど,とても旨かった」 「ありがとう。…あ,俺,ビーフカレーと,ポーク,チキン,シーフード…全部で4種類のカレーを作れるんだ。これでレシピ4種って数えていいか?」  ブライスが優志を見て眉を顰めた。 「あーダメか…」 「ヒレカツは数えてもいい…」 ―なら,ビーフカツとチキンカツも… そう思ったけれど言うのは止めておいた。ブライスがくくっと笑った。 「一緒に暮らしたら,優志の旨いカレーを毎日食べられるのか…」 「さすがに毎日は飽きる」 優志が笑ってブライスを見ると,とても穏やかな表情を浮かべていた。瞳に夕陽が映り込んでいて綺麗だった。その瞳が一瞬でいたずらっぽい表情に変わった。 「優志,このままボウを連れて,ボートに乗ろう」  優志は同意の笑顔を返して走り出した。そうして馴染みの桟橋に向かった。
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