285人が本棚に入れています
本棚に追加
大学の外にあるチェーン店で食べようということになり,遼は他の日本人学生に声をかけに行った。
「ユウシ,君は真面目だけど面白いヤツだ。それに人を前向きな気持ちにさせてくれる…」
先ほどの和やかな空気を保ってブライスが言った。
「そんな風に言ってくれて嬉しい…かな」
「うん,この短期間に君のことをかなり知ることができたと思うけど,知れば知るほど君への関心は高まる」
「俺も,この10日間で貴方のことをたくさん知ることができたし,貴方がもつ世界は俺には特別っていうか…。学ぶことばかりだ」
―…友達って呼んでくれるかな,俺のこと…
「…うーん,そうだな,俺のことよく知った方だよなぁ。他のやつに言ったことがないことも教えたし」
ちょっと感心したような微笑みを浮かべてブライスは言った。それからふっと真顔になって,いすの背もたれに背中を押しつけるようにし,優志を真っ直ぐに見つめた。
「でも,まだ優志に言ってないことがひとつある」
ブライスは口を閉じて一呼吸した。 そして再び口を開いた。
「俺がゲイだってこと…」
最初のコメントを投稿しよう!