第4章 約束

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 ブライスはベッドに戻って優志の隣に座った。 「急に夜中に来て,迷惑だったかな…」 「…まさか,そんなことないよ。嬉しすぎて心の準備ができていないだけ」 「早く伝えたくて,焦ったかも,俺」 「死ぬほど嬉しいんだ。俺と『ずっと一緒にいたい』って,プロポーズと思っていい?」 「えっ,プロポーズ?…そ,そこまでは考えていなかったけど…ブライスは俺でいいの?」 「ユウシがいい…一緒にいたいのはユウシだけ」 ブライスは優志のスニーカーを脱がせ,パーカーをベッドヘッドの上にかけて,優志を抱き寄せた。 「約束だったよな。君のことを女扱いしない,ウソはつかないって。でもキスはいいかな」 「もうしたし…」  ふふっと笑ったブライスが,唇を少し開いて優志に口づけた。すぐに舌を絡め合い,ゆっくりと互いを味わい合った。 ―俺たち,お互いが等しく相手を愛し合うんだ,わかるか,ユウシ… ―ブライスが何を言いたいのか,感じるよ。俺は今,キスをされているんじゃなくて,自分の意思でキスしてるんだ。  顔と唇の角度を変えながら長くキスをしているうちに,優志はふわふわとした気持ちになってきた。 ―んん…,ブルーベリーの時と同じだ。どうしてこうなったちゃうんだろう…  意識をしっかり保とうと,優志は一度唇を離して息を整えた。ブライスは優志のさせたいままにしていたが,額をくっつけたまま視線を捕らえたままだった。 「愛してる,ユウシ…」  ブライスの言葉が優志の胸をぎゅうっと掴んだように感じて,優志は苦しくて何も考えられなくなった。また唇を合わせながら言葉が勝手に出てきた。 「俺も,愛してる,ブライス」 ブライスの名前は本人の口の中で呼ぶことになった。
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