第4章 約束

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 ブライスは,優志の両内腿を撫で,両膝を少し上向きに曲げさせた。優志の下腹に熱い息をゆるりと吹き替えながら,下着のゴム部分に手をかけて優志を見上げた。  ブライスの手の動きが止まったので,優志は息を整えながら首を下に向けてブライスを見た。自分の両足の間,下着の真上に顔が見える。自分の高ぶりがもうすぐブライスの唇にくっつきそうで,喉から上ってきたわななきを唇から解放するのに苦心した。  ブライスの目が,この先に進んでもいいかな…と訊いてくる。優志は溜息をついて目を閉じ,乾いた唇を舌で湿らせた。それからブライスの頭を,躊躇いがちに両手で挟んだ。  ブライス繊細なものを取り出すように下着をずらし,姿を現した優志の高ぶりを,その手で,口で愛した。優しく思い遣りに溢れた触れ方だった。少しも急ぐことなく,優志が取り残されないように十分に時間をかけて愛撫した。  目をきつく閉じた優志は,ブライスのひとつひとつの動きをその部分に感じ,瞼の裏に,彼の手と,唇と,舌が動く様が再生されて,熱い吐息が漏れた。 徐々に高められ限界が近づいていることを感じて,優志はブライスの頭を押しやろうとした。 「ブライス…,もう,もう止めて…イくから…」 「…俺の口の中でイって…」 先端を熱い舌で包みながら,ブライスはくぐもった声で答えた。 そんなことは前に付き合っていた人にもされたことはなかった。優志は思わず腰を引こうとして動いた。それより早くブライスが優志の腰を抱きしめて彼の顔に留め,それまでになく唇と舌を激しく動かした。程なく優志の最後の張り詰めを感じて,強く強く吸った。 ―全部,俺に放て,ユウシ。俺が全部もらう… 「んんっ…あぁぁっ…ぁっ…」  長いうめき声を上げて,優志は果てた。 経験したことがないほどの強烈な快感を得て,全身に痺れが走りしばらく息が継げなかった。吐き出す息がもう無い,と気づいてやっと息を吸い込んだ。  ブライスが優志の横に来て,ゆるく抱きしめた。顔が近づくとブライスの口から自分自身の匂いがした。 「ブライス…,ごめん,俺,我慢できなくて…」 「謝らないで。嬉しいんだ,優志が俺の中で達するのが…。愛してるから,これからもこうしたいよ…」  優志は感激してブライスにキスした。相手の口中から自分の匂いがするのに正直戸惑ったが,どうしても彼の愛情にキスで応えたかった。
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