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ブライスは優志を抱きしめて,それからナイトテーブルからチューブを取り上げた。優志の身体の奥深くを探り,ジェルを使って指で解した。そこからボディーシャンプーの香りがたち,ブライスは愛おしさのあまり指を抜いて香りの出所にキスをした。
「な,止めて,ブライス!」
「だって,ここ,とってもいい匂いがする…。ユウシ,ここも洗ったんだな?」
優志の真っ赤になった顔が答だった。
「嬉しいなぁ,ユウシ,俺のために…,ここを自分で…」
「今度から…あ、洗わないよっ!」
「…次は俺が洗ってあげるよ…」
そしてまた指で優志の身体を柔らかく耕した。苦しそうな中にも感じているのが伝わってくる。彼のいい所も探せば見つけられる自信があったが,最初から全てを盛るのは避けようと思っていた。徐々に,だ。
中に入れた指に馴染んだのか,指を動かすと身悶えし始めた。明らかに痛みのせいではない動き方だ。吐息も艶めいていた。閉じていた目をうっすらと開けて,優志は視線で訴えた。
―来て…。
ブライスは自分自身にゴムを被せ,優志の両足を開いて膝下に自分の両腕を入れた。胸が高鳴った。
ふわふわに柔らかくなった優志の入り口に自身を当て,ごくゆっくりと中に進めた。切羽詰まってはいたが,決して優志を傷つけたくはなかった。
じわりじわりと自分の身体が拓かれていくのを優志は感じた。全神経がそこに集まっているかのようだった。痛みではなく経験のない異物感に何度も身体が引けた。そのたびにブライスが唇に緊張を解すような丁寧なキスをした。
両腿を支えていた腕を外して,優志の両手にそれぞれ絡めた。優志は我知らず強く握り返してきた。
奇跡のような確率で出会った男。
湖で必死に俺を捕まえてくれた。
孤独だった自分の部屋に,何の迷いもなく進入してきた恋人。
決してその手を離してはいけない。
身体の繋がりを通して,優志を愛していることを伝えたかった。自分の欲望は満たされなくてもいいとさえ思った。
ブライスは幼子をあやすように優しく優志の熱い中をさすり続けた。
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