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「うわぁ,微妙な気持ちだな…男なのにケツとか」
「もっと知りたい?そのいつも笑っているように見えるアーモンド形の目とか,ピンク色で俺を誘ってるような唇とか,なめらかな首筋とか,小さくてピンクで可愛らしい乳首…」
「わああ,もういい,もういいよっ」
「…一番好きなのは,ここ」
ブライスの長い人差し指が,優志の胸の中心にすっと置かれた。
「君のハート」
気障な台詞なのに英語で言われるとすんなり心に届く。本心なのは分かっているけど,ブライスがどんな顔をして言ったのか確かめたくて真横にいる美しい人を見つめた。透明感のあるグレーの瞳が真っ直ぐに優志を見つめ返していた。
こうして言葉にして言われて,自分はこういう事を言って欲しかったんだなと改めて優志は思った。自分もきちんといわなくちゃ,そう思い直した。
「俺は,ブライスの目とそれから…全部が好きだっ」
ブライスが破顔した。
「やられたっ!」
そのまま両手で胸を押さえてゴロリと仰向けになって情死している。どんなバカップルだよ,と笑いながら,優志はふと思い立ってベッドから下り,ライティングデスクからメモとペンを持ってきた。ベッドに座り,ブライスの目の前でメモに漢字を書き付けた。
「これ,俺の漢字の名前。これが『優』で,こっちが『志』。何か気がつく?」
「『優』と『志』か。『優』は難しそうな漢字だな…。両方の漢字に,同じ形の部分があるな。この小さいのと,そっちの大きいの」
「そう。これが『こころ』で,ハートっていう意味。俺の名前にハートが二つあるんだ」
横になってメモを見ていたブライスが,真剣な表情を取り戻してベッドに座り直した。それから優志が続ける言葉を待った。
「だから,この小さい方のハートをブライスにあげる。俺の心の片方を持ってて欲しいんだけど」
いい思いつきだと思ったが,いざ口に出してみると,かなりイタイことを言ったんじゃないか俺,と優志は心配になった。
「何て,ロマンチックな恋人なんだ」
ブライスは愛おしくてたまらないという風に優志を抱きしめた。それから優しいキスをゆっくりと交わした。唇が離れたとき,ブライスが言った。
「お礼に,俺の名前の真ん中にある『i』を優志にあげるよ」
「…ああ,『i』は日本語の『愛』と同じ音だからすっごく嬉しいよ」
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