第4章 約束

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会話を楽しみ,時間をかけて食事をしたつもりだったが,まだ7時を過ぎたばかりだった。 「ゆっくりしてもらいたいところだけど,優志,俺の部屋に行こう」  直接的な物言いだったが,優志は素直に頷いた。普通だったら「自然な成り行き」を楽しみたい時期だが,自分には本当に時間が残されていない。あと40時間ほどだ。着々と進めなければ…。 初めて身体を重ねた時から心に引っかかっていたことを伝えたい,自分の要望もかなえて欲しい…。 ―率直に言おう。 「歯を,磨かせて…。それから,ブライス,俺たちにはコンドームは必要なのかな」  ブライスが固まった。優志の本意を理解しようと考えを巡らせた。 「それは,コンドームなしでセックスをしたいという意味なのかな?」 「そう。俺たちに病気の心配はないし。直接触れ合えないかな」 「…デリケートな部位だからな…。コンドームを使う方が衛生上安心なんだ」 「ブライスの言っていることは分かる。コンドームなしでのセックスが可能か知りたかったんだ。俺は何も知らなくて,結局今まで調べる時間も取れなくて…」 「方法はあるよ,優志。それが優志に負担をかけるから,俺からは勧めたくないんだ」 「俺…その方法を知りたい…。俺にできることなのかな…」  ブライスはしばらく優志を見て,瞳に漲る真剣さに折れた。それでできるだけ柔らかい雰囲気で言った。 「分かった。できる範囲でやってみよう。俺の勇敢なボーイフレンドに敬意を表してね」 それから優志の身に起きることを思い,克服するのをサポートするのも自分の役割だと考えた。 ―何て甘美なサポートだ
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