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「君が神多真澄君だね。よくこの学園に来てくれたね。私は理事長の蓮見総一郎(はすみそういちろう)だ。よろしく。」
「……よろしくお願いします。」
私はそう愛想笑いを浮かべながら、息詰まるような緊張をしていた。
その原因は、私の目の前の椅子に腰掛けている神多真澄という存在である。
先程からこちらをものすごい圧力をかけて見てくる。
瞬きもせずにこちらを見てくる。
恐怖を感じても仕方ないだろう…
「まず、この学園について書かれている資料を渡しておくね。この学園内について分からないことがあれば、これを読めばいいよ。」
少し分厚めの資料とカードを神多の前に置いた。
身の危険を感じながらも
「それと、このカードは学生証なんだけど、部屋の鍵の代わりになっていて、クレジット機能も付いているから絶対に無くしてはいけないよ。」
「はい。」
「簡単な説明はしたけど、他に何か質問はあるかい?」
「いえ、ないです。」
そういう彼にホッと息をついた。
もちろん心の中で。
この圧力から早く解放されたい。それだけを考えていた。
「そっか。もし、なにかわからないことがあれば友達にでも聞くといいよ。」
その瞬間、室内に緊迫した雰囲気が流れた。
なんだこの殺気じみたオーラは…
先程とは比べ物にならない恐ろしさに、思わず体が震えた。彼の表情はまさに無だった。
やられる。
蓮水総一郎は命の危険を感じた
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