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誰か、誰か早く助けてくれ。
すると、扉をノックする音が室内に響き渡った。
その音に、天の救いを感じ思わず立ち上がった。
「そ、そういえば神多君の担任の先生に迎えを頼んでおいたんだ!後は、先生に説明を受けるといいよ!」
「はい。」
その言葉に彼は先程の恐ろしい圧力を消すと、立ち上がった。
すると彼は
「説明ありがとうございました。分からないことがあれば……友達に聞きたいと思います。」
と言った後美しいお辞儀をした。
その後、彼の顔にはぞっとする冷笑的な薄笑いを浮かべられていた。
「失礼しました。」
彼が去った瞬間、蓮見総一郎は力が抜けたかのように膝から崩れ落ちた。もはや立ち上がる気力さえもなかった。
まだ、高校生という若すぎる年齢であれほどまでに人を圧倒させるようなオーラをだすことができるのだろうか…大人でもあれはきっと出せないだろう。
ふと、彼とあまり年の変わらない可愛い甥っ子を思い出した。この学園に最近転入してきて、色々な問題を起こしている甥っ子。
私は小さい頃から可愛がっていた甥っ子に、どこか甘い部分があった。
周りの言い分も聞かず甥っ子の事を第一に行動していた。そのせいか、甥っ子は常識も世間の厳しいさもきっと理解しないまま成長してしまった。
私も私自身に甘かった。
彼はきっと、甥っ子に少なからず影響を与えるだろう。
それが良いものか悪いものかは分からないが。
それにしても本当に怖かった。
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