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「お前ら!席につけ!って、なんだお前ら珍しく席に着席してるな…。」
そう不思議そうな物を見る暑川先生なんか今、2年D組の生徒にとってはどうでも良いことだった。
彼らにとって今もっとも気になっていることは、このクラスに今学園中の注目の的である、転校生が入ってくるか、来ないかただそれだけだった。
転校生が来るという大変面倒なことだけは避けたいっ!!
誰もが固唾を飲んで暑川先生の出方をうかがっていた。
「なんだ?いつにもまして不気味だな!ハハッ!元気がないのか?元気が出ない時は体を動かすと元気が出るぞ!」
そんなことを知らずに、体を動かすことに熱く語る先生。
(そんなことはどうだっていいんだよ!早く転校生が来るか来ないか伝えろよ!)
(頼むから、平和に過ごさしてくれ!)
(マリモ来るなもじゃ来るなマリモ来るな)
(俺も運動しよう)
みんなが様々な思いを抱えつつ静かにしていると、暑川先生は突然黙った。
「そういえば、みんなに話さないといけないことがあったな。」
みんなが次の言葉に耳を傾けていた。
さぁ、来るのか?来ないのか?
「どうやら2学年に転校生が入ってくるらしいぞ。お前らも学園のこととか教えてやれよ」
まるで他人事のように話す先生。
「も、もしかしてこのクラスじゃない感じ?」
その言葉を筆頭に数々の喜びの言葉が聞こえてきた。
2年D組はいつにもなく喜んでいた。
喜びのあまり叫ぶものや、神に感謝するものや、踊りだす者もいた。
(ハハハッ、転校生が入ってくるクラスには悪いが、ひとまず俺らのクラスは平和だな。)
「お!どうした!お前ら、そんなに転校生が入ってくるのが嬉しいのか!」
その言葉を聞くまでは俺達は幸せだった。
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