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挨拶を無事終え、自分の席は一体どこだろうと辺りを見渡すと空いている席が何個もあった。
もしかして、これは好きな席に座れということなのか?金持ち高校になると席さえも選べるというのか。
とりあえず早く座りたい。
早く人目のつかないところに。
そう思い、一番後ろの窓際の席を目指して一歩を踏み出した。
一歩ずつ進むにつれ、みんなは蒼い顔をしてうつむき出した。
(目があったら殺される)
そんな思いがひしひしと伝わった。俺がクラスメートを脅かしてるのだと思うと、なんだか不憫に思えてきた。
といって、この強面をどうすることもできないのだけれども…
そして長い長い道のりを歩き無事目的の場所に座ると、みんなが一斉にこちらを驚愕気味の表情で見てきた。
「あ、あの席は…。」
「どうしてあの席にっ…!?」
「ひぇぇ、恐ろしい!!!!」
中にはカタカタと震え出している者も見た。
なんだ、このオーバーなリアクションは?訳が分からず、前の席の奴に目をやった。
前の席の奴は…まぁ、委員長とでも呼ぼう。理由は黒縁メガネを掛けていて、爽やかな雰囲気をしており、如何にも委員長ですという、俺的に委員長像に一致していたからだ。
だが、その委員長フェイスもどうやら俺の前では平常心を保っていられないらしい。
というか、目が合う前に、前を向かれた。
きっと彼がこちらを向いてくれることはないであろう…。いいさ、いいさ穏やかに俺は静かに小さく過ごしていくから。
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