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そしてこんな時期に転入してくる二人目の転入生。もうみんながおかしくなるのも仕方がなかった。
だが、そんななか転校生など全く眼中になく鏡を眺めて自分の姿を眺めてうっとりとしている異質な存在もいた。
それは丁度、毬藻転校生が入ってきた隣の教室、1年A組にいた。
「あの…吉良様、吉良様は二人目の転校生のこと気にならないのですかぁ?」
異質な存在に話しかけたのは、フワフワの髪の毛に、パッチリお目目が可愛らしい男の子だった。
頬を染め、首を傾げながら話すその様子は完璧に計算され尽くした自分を可愛く魅せるものだった。
実際にその様子を見ていた者達の中には
「天使だ……」
とつぶやく者もいた。
だがしかし、話し掛けられた張本人は目線を鏡から反らすことはなかった。
「俺?俺は転校生なんてどうでもいい…そんなことよりも、この俺の美貌の方が心惹かれるだろ?」
「きゃぁああああああああ!!!」
「吉良様っ…なんて罪深いお方なのでしょうっ…うっうっ」
「あの転校生にさえ心奪われない圧倒的なナルシスト力っ…どこまでも付いて行きますっ!!」
「くそっ…俺が同じ台詞を言ったら物理的かつ精神的暴力が来るというのに!!」
「いや、あんな台詞許されるのあいつぐらいだろ。」
「大丈夫だろうか?俺の美しさは法に触れてないだろうか?」
髪をかきあげ、憂いの表情を彼は浮かべた。普通はこのナルシスト野郎を頭の痛い馬鹿だと思う人もいるが、皆彼を嫌悪の目で見ることは出来なかった。何故なら彼はその言葉を肯定できるほど美しさを持ち合わせていたのだ。
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