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そんな今や、学校中の注目を浴びており、悪魔だのなんだのと、散々な噂を立てられるとも知らない転校生、神多真澄(かんだますみ)は、副会長である榊和臣(さかきかずおみ)に理事室を案内してもらったところだった。
「案内ありがとうございます。榊さん。」
「いえ、わ、私は副会長としての役目を果たしただけです。あの、よろしかったら敬語じゃなくても構いませんよ?私の場合は癖なので。よ、呼び方もですけど、同じ2年生ですし……」
まじかよ…。てっきり、この良く出来た副会長は3年生だと思ってた。あれ?なんで俺が2年って知ってんだ?
「あぁ、なぜ学年がわかったかというと、襟元にあるバッジの色ですよ。3年生が赤、2年生が青、1年生が緑となっています。」
おぉ…。まさに俺が疑問に思っていたことを答えてくれるとは、もう何も言うことはあるまい。
相手の襟元の青いバッジを見ながらそう思った。
「榊が副会長で良かった。改めてよろしくな。俺のことも好きに呼んでくれ。それと俺に笑いかけなくていい。」
俺の持てる表情筋をフル活用して極力優しい穏やかな笑みを浮かべた。感謝の気持ちを伝える為に。
本当は見てるだけで怖いであろう俺に無理して笑顔を作っていたのは誰の目に見てもわかるほどだった。
自慢じゃないが俺の顔は中々に厳つく怖い。
まだ愛嬌とかあれば良かったのだが、生憎、表情筋が動かず基本仏頂面だ。
たまに鏡を見て自分の顔にビビることもある。なので友達もいない。
これは原因が他にあるのかもしれないが。
涙が出そうになった。
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