開かれたフィールド

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「それは……みんなが俺にそう言ってくれたから……?」 「そうですか。悟と瞑は?」 「俺も、そんな感じだ」 「俺も……」 三人の答えに一世はウンウンと頷く。 「そうですよね。話してくれたから、それを信じた。ただ、それだけのことでしょう?」 「人から見える世界は同じとは限らない。信じること。そして信じてもらうことが全てなのです。残念ながら彼女は誰も……自分自身さえ信じることができなかった。そこが、私たちとの決定的な差なのですよ」 その言葉で、統吾は感嘆するように息を呑んだ。 そっと視線を横にずらすと悟が照れ臭そうにして自分の頭を掻いていた。 そんな彼を見て、統吾は歯を見せるようにニカッと笑った。 「ありがとう、さとりん」 彼の感謝の言葉には二つの意味があった。 自分に世界を話してくれて。 自分の世界を信じてくれて。 だからこうして、今でも自分はこうしてありのままでいられる。 けれども、それは悟も同じだった。 しかし、彼の場合は恥ずかしくて口に出せない。 そのため小声で「おう……」と返すのが限界だった。 不器用な悟と、笑いながら悟の背中を叩く統吾。 二人の様子を見つめる瞑に、一世は声をかける。 「瞑も流花さんと燿君に感謝するのですよ」 一世に言われ、瞑も小さく頷く。 「勿論……だって、あいつらがいないとつまらないもん」 そう瞑は頭の後ろで腕を組みながら一世に笑い返す。 その屈託のない笑みはあどけなく、とても幸せそうだ。 息子たちの表情を見て、一世は心底安堵していた。 いかんせん、息子たちをこんな体質にしてしまったのは自分の遺伝だ。 自分が彼らの世界を理解しているからとはいえ、生きにくいのは変わりない。 本当、よかったですね。 そんな親心にはおそらく彼らは気づいていない。 それでも一世がいいと思っていた。 彼らがこうして、逞しく生きてくれたらーーそれで。 クスリと笑いながら、一世は悟が淹れた茶を口に運んだ。 こんなに胸がほっこりとするのは、温い茶のおかげだけではない。 その理由にも、彼は気づいているのだ。 いつまでも笑いあっている彼らを優しく見守りながら、一世はズズッと、一人で茶を飲み干した。
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