2030年

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「正人、今日病院に行くんじゃなかった??」 「……行ってきたよ」 正人は小さな声で応えると、すぐに自分の部屋に身を隠した。こんな時に、母親の説教なんて聞きたくはない。しかし正人の母は扉越しから口をつく。 「あんた、ちゃんと手術受ければいいじゃないの。元通りってわけにはいかなくても、バスケ、またできるようになるって言われたでしょ」 「……」 「ねぇ、聞いてる」 「……うるさい」 「……いつまでもやっているつもりなのよ」 足音が聞こえ、母親が部屋の前から立ち去ることを確信すると、正人はほっとした。「いつまでか……」そんなことわからない。俺が知りたいくらいだよ、とベットに体を預けた。 怪我をした当初は、また捻挫だろうと正人も思っていたし、いつもの接骨院も、またやったか、と笑っていたので安心していた。湿布とテーピングで固定をして、家に戻った正人だったが、夜になると痛みが治まるどころかひどくなる一方だった。 テーピングきつ過ぎるんじゃないのか、とテーピングを剥がしたがそれでも痛み変わらず、増々ひどくなる。なんだよこれ、と最初は我慢していたが、耐え切れなくなると、再び接骨院へと行き、今度はしっかりと検査を受ける。 もしかして、ただの捻挫じゃないのか?まさか骨折かよ、と正人は恐れるが、骨折ではなかった。 骨折の方がまだ良かった。
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