第1章

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 6ページ 「警察部隊長様、嬉しい言葉です。心の美しさは全ての人々が持っているって信じたい宝物です」  天使は住民たちを見つめながら言った。 「皆様、皆様にお願いがあります。魔女ゴバと戦った乙女たちを元の姿に戻してあげたいです。それには皆様の協力が必要です。彼女たちの胸に頬を寄せてあげて下さい。皆様の喜びが彼女たちの心で輝いたなら、彼女たちは元の姿に戻るでしょう」  住民の誰もがにこやかになった。村長はにこやかに、 「この村を救ってくれてありがとうよ。みんなを守ってくれてありがたいよ。ありがとう! 心の美しさは永遠であってほしいよ」  メーナと男たちが先立って、乙女たちの胸に頬を寄せた。それから住民たちが続いた。誰もの言葉は明るく喜びに満ちていた。 「ありがとう。みんなを守ってくれて本当にありがとう!」  住民たちのその言葉は、互いの心に感謝と喜びの明かりを灯し合っていた。三歳位から八十代まで。最後は老夫婦だった。爺やが言った。 「人間の値打ちは心の美しさだよ。わしは年で目が弱いから姿はよう見えん。だが心ならよう見える。この村を救ってみんなを守った。間違いなく心は美しい。心は温かいよ。人間の値打ちは確かに心の美しさだ。婆や、わしは年取っても幸せだ。人間の素晴らしいものが見える」  婆やが幸せの笑みを灯して言った。 「それは素晴らしい! 爺や、年取っても幸せなのは素晴らしい事だ。確かに人間は心の美しさが値打ちだよ。子供から年寄りまで、心の美しさが値打ちだよ、人間は。私も年寄りで目が弱ってね。でも見えるよ、心の美しさは。人間の値打ちは心の美しさだよ」  老夫婦は乙女たち三人の胸に頬を寄せた。乙女たちは元の姿に戻った。明るくにこやかで、素晴らしい笑顔だった。ルナは老夫婦に、 「爺ちゃん、婆ちゃん、素敵で素晴らしい言葉でした。聞いていて心から嬉しかったです。長い生涯心の美しさを見続けて来られたなら、こんな素晴らしい人生はないでしょう? お互い生涯のパートナーとして心の美しさを見続けて、こんな素晴らしい人生はないでしょう?」  爺やがにこやかに、 「そうだよ。素晴らしい人生だよ。全てはあの桜だ。五十年も咲かなかったあの桜のお陰だよ」  ルナは笑みを絶やす事なく、 「はぁ? 爺ちゃん、どういう事でしょう?
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