第1章   真琴

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「そんな困った顔しなくても、予定があるならそう言っていいんだよ」 予定か・・・・・・ ふっと浮かんだのは高校時代の恩師、藤本響先生 『好きだ、マコ』 あの声と重なるかどうかを確認してみたい 「すみません、高校時代の恩師に会う予定があって」 「ああ、そうか 残念だけど、またね」 擦れ違う瞬間、彼の手がお尻に触れた ・・・・・・気持ち悪い 昨日の友樹くんと違って、すごく嫌な気分 チラチラ未練がましく視線を送ってくる彼から離れて、響先生に電話をした 『マコ? どうした』 走ってきてくれたのかな 少し荒い息がセクシーで、ドキドキする 「会いたいと思ったんですけど、部活でお忙しいですよね」 『いや、すぐ行く。待ってろ』 待つこと10分 事務所前に立つぼくの前に止まった車の窓が開いて 「よお、乗れよ」 6年近く前の写真より艶のある男が、顔を覗かせ笑った 「あの、部活は終わったんですか?」 「サボった」 「えー?」 「バーカ、簡単に騙されるな」 わしゃわしゃ ぼくの髪を掻き回す先生の手、凄く好き ヤバい 彼の手を意識してたら体の奥が、ジンと熱くなった
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