第1章   真琴

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言い切ったチコの視線は・・・・・・ 「愛されてるの分かってて、遊ぶな」 「自信なんかないわよ『猿真似する必要はない。お前らしく生きろ』言って、消えてしまったんだから」 渋い顔をした遼太郎さんが「事情があったんだよ」床に寝転んで目を閉じた 頬杖ついて、ぷい 顔を背けたチコの目元が赤く染まっている 「待ってろ。の、言葉もなく?」 「ああ」 「勝手すぎるわ」 今にも泣きだしそうで、でも、泣いてなるものか! 我慢してる切ない表情 「えーっと、さ」 参った 記憶のない自分が恨めしい (遼太郎さんと、大人の関係なの?) いや、でも 相手は叔父だぞ 勘違いだったらとんでもなく失礼になる 「ありがとう。参考にさせて貰うね」 「うん」 落ち着いて家の中を観察してみれば、辛い気持ちを抱えるのはぼくだけではなさそう 不安そうな顔の薫くんに笑いかけて プリンをパクリ にこっ 可愛い笑顔を見せてくれた彼と、プリンを食べた 「これお願いします」 「はい」 販売員から送られてきたデータをまとめ、出荷量を上層部に転送 新商品がどれたけ売れたか どの商品を残し、どの商品を消してしまうか考えるのは上層部の役目 と言えば格好いいけど 大手を追従してるだけだから、データさえあれば上層部でなくても出来そうな気がしないでもない 「水原さん、飲みに行かないか?」 どうなのかな 記憶をなくす前のぼくは、どう返していたのだろう
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