プロローグ  真琴

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医師の卵に休暇はないというけれど 新人警察官にも休暇はない 大学卒業と同時に受験した警察官試験に合格し、警察官学校に6ヶ月の入校 退校の日を指折り数え 最後の1日を終えた翌日 「圭介! やっと会えるんだね」 思ったそこのアナタ 鏡に映る水原真琴を指し示し、チッチッ、人指し指を左右に振った 「地域課、刑事課とたらい回しにされて待つこと1年。今度こそ会えると思ったのに・・・・・・」 酷くない? 圭介 大事にしてきた圭介からのプレゼント ラクダ色のパンツとシャツを胸に抱きしめ、ぽろぽろ涙を流す僕を圭介は抱き締めてくれない 「分かってるんだよ? 忙しいことくらい」 でも・・・・・・ あんなの見せつけられたら、平静でいられない やっと会えたのに ぼくの家を訪ねて来て、母さんに挨拶しただけで仕事へ戻ってしまうなんて思いもしなかった しかも・・・・・・ 圭介の隣に立っていた“あの女” 階段の手すりを掴んでコソッと片目で圭介を確認、あ・・・・・・少し、痩せてる 大丈夫かなぁ? 心配するぼくの存在に気付いて、ニヤリと嗤った“あの女” 立ち眩みを装って 圭介の肩に頭を乗せた“あの女”「いったい何なのさ!」鏡に投げつけたパンツが床の上に落ちた 惨めな落ち方だ きちんと畳んでたのに、ぐしゃぐしゃになったパンツはぼくみたい
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