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……。
「高校に入ってこんな格好し始めたのは、その男の子に気づいてもらうため。気づいたでしょ? 私が嘘を言ったことに」
嘘を言った時。確か、舌をペロリと出したのに気がついた。ユキちゃんも確かそんな癖があった。
「ね、私はずっと君のことしか見てなかった。あの頃も今も変わらない」
そうか。そんなことが。しかも気になることが一つだけある。
「なら、あの嘘は何だったんだ。ナンパじゃないとすれば、あれはお前の彼氏か何かだったのか?」
涙を拭い、一つの疑問に踏み込む。あれを解決しなければ何もかもが終わらない。
「……あれは、半分ナンパ。高校デビューの時に適当な人に声かけて、ついてきたのがあの人達。まるで姫様扱い。笑っちゃうよね」
「疑問は解決した。ありがとう。俺は今見ての通りフリーだ。だから」
「だからもう一度俺と、でしょ? もちろんいいよ。もうあなたしか見れないから」
そう言って手をつなぐ。そういえばあの時の嘘は何だったか。
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