日常

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「なぁ悠平、宿題やったか?」  友達の光輝が声をかけてくる。 「あぁ、やったけど自信ねーわ」 「いいから、見せてくれよ。俺昨日ゲームしててさ」  あぁ、またか。こいつはいつもそうだった。 「いいけど、適当に間違えておけよ。後で面倒だぞ」  そんな会話をいつも繰り広げている。俺も成績がいいわけではない。しかしあいつよりはずっとまともだ。  せかせかとノートを写しているのを横目にクラスを見渡す。ほとんどが登校している中、見えない顔があった。またあいつだ。――――まぁどうでもいい。興味もない。  今日の話題も特に面白いことなしか。クラスの喧騒に紛れてよく聞き取れないが、今日のニュースの話題が多いのだろうか。何が怖い、何があった。そんな感じだ。 「ありがとう、めっちゃ助かった! 今度ジュースでも奢るから!」  そう言って自分のグループに混じっていく。俺もそこに入って談笑する。  始業二分前。教室のドアが勢い良く開けられる。息を切らせて入ってくるあたりまた寝坊でもしたのだろうか。 「悠平、あいつに興味あるのか? んまぁお前は色んな物を見てるからな」 「そんなんじゃねーよ。言うほど色んな物を見てるわけじゃない」  そう否定して談笑を続ける。――――あいつは星川雪乃……だったか。このクラスでのアイドル的存在であり注目度は一番高い。何より本人も高飛車で自信家。やっかむ人間も多いが男子からは持て囃される。そんな存在だ。  そのまま始業のベルが鳴り、グループが解散される。そして先生が入ってきてホームルームが始まる、そんな毎日だ。
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