0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「んー、つまらん!」
光輝がそう叫ぶ。公衆の面前で呑気なこと言うなと毎回思う。
「なんだよいきなり」
俺はそう返す。
「だってよ、高校だぜ? それなのに俺ら彼女すら出来ないってどうよ?」
……相変わらずぶっ飛んでいる。どういう思考回路になればそういう言葉が出てくるのか。
「立場で彼女ができれば誰だって苦労しねーよ」
そんな言葉を光輝に返す。……まぁ気持ちはわからんでもないが、俺は別に不自由しているわけではない。その点では別に余裕があるのだろうか。
「いいよなぁ。お前は頭いいから勉強会とか開けばモテるだろうぜ。でも俺はなぁ」
「あ? 別に俺は頭いいわけじゃねーよ。勉強会とか柄じゃねーし」
そんな話をしつつゲーセンに寄っていた。すると見覚えのある顔を見かけた気がする。……星川か、あの髪型は。
「どうした? 知り合いでもいたのか?」
「……いや、何でもねーよ」
まぁいいか。あいつが何をやってようが興味もないし関係もない。ただ嫌な予感がする。
ふと目の前を通り過ぎた時だった。
「あ、高島くんに辻くん! 待ってたよ! 行こっか」
そう言って俺に耳打ちしてくる。
――――とりあえず話に合わせて。事情は後で説明するから。
「は? 星川、お前何」
「おう、ここにいたのか。行こうぜ」
光輝の言葉を上からかぶせ、とりあえずその場から引き離す。
最初のコメントを投稿しよう!