一歩目

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「んー、つまらん!」  光輝がそう叫ぶ。公衆の面前で呑気なこと言うなと毎回思う。 「なんだよいきなり」  俺はそう返す。 「だってよ、高校だぜ? それなのに俺ら彼女すら出来ないってどうよ?」  ……相変わらずぶっ飛んでいる。どういう思考回路になればそういう言葉が出てくるのか。 「立場で彼女ができれば誰だって苦労しねーよ」  そんな言葉を光輝に返す。……まぁ気持ちはわからんでもないが、俺は別に不自由しているわけではない。その点では別に余裕があるのだろうか。 「いいよなぁ。お前は頭いいから勉強会とか開けばモテるだろうぜ。でも俺はなぁ」 「あ? 別に俺は頭いいわけじゃねーよ。勉強会とか柄じゃねーし」  そんな話をしつつゲーセンに寄っていた。すると見覚えのある顔を見かけた気がする。……星川か、あの髪型は。 「どうした? 知り合いでもいたのか?」 「……いや、何でもねーよ」  まぁいいか。あいつが何をやってようが興味もないし関係もない。ただ嫌な予感がする。  ふと目の前を通り過ぎた時だった。 「あ、高島くんに辻くん! 待ってたよ! 行こっか」  そう言って俺に耳打ちしてくる。  ――――とりあえず話に合わせて。事情は後で説明するから。 「は? 星川、お前何」 「おう、ここにいたのか。行こうぜ」  光輝の言葉を上からかぶせ、とりあえずその場から引き離す。
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