遥斗の過去と……気持ちの渦

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糞ババアとの通話が切れた俺の携帯を、静かにベッドに置く蒼空……。 竜は、俺の口を塞いでいた手を離し、抱え込んでいた力を緩めた。 その拍子に、力が入らなくなった俺は膝から崩れ落ちる。 『ふぇ…んぐ……… 』嗚咽が出そうになるのを必死で我慢する、、でも、両目から止めどなく溢れる涙は止まらない。 糞ババアの事より、蒼空が俺の気持ちを大事にしてくれた事が本当に嬉しくて―――。 心配そうに頭を撫でてくれる竜…。 〝 ふわっ 〟 床に崩れ落ちた俺を、蒼空の温かい手が抱き上げた! 『 お前の涙が止まるまでの間だけ 』 囁かれたのと同時に、蒼空の匂いに包まれた――。 あぁ、落ち着く…蒼空の温もりと香水の香りに自然と涙が止まっていく……。 離れたくないって、思った自分の気持ちを誤魔化しながら――。 『 もう、大丈夫だよ…蒼空 』 泣きまくった俺の口からは、掠れた声しか出なかった・・・。
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