第1章~SADS ~

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バンッッッ!!! 『ぐああぁあうをぁあぁあぁ!!!!!!!』 シュンの撃った弾は見事に命中した。 『えっ?あっけなさすぎ。』 いとも簡単に撃たれた妖魔を見てイツキは唖然とした。 『念のため、もう一発…』 バンッッッッ!!!! 『ぎやぁきぁぁあぁゃあやあぁぁあ!!!!』 そのうめき声と共に妖魔は溶けていった。 『ヒト型のくせに、あっけないんだな。』 イツキが溶けてしまった妖魔を見下ろすように言った。 『いや、こいつはヒト型じゃない。ビートル型だ。 今朝の写真を見ただろう?人間を捕食することで言葉を発する事が出来たんだろう。』 ヒロはしゃがんで妖魔を眺めた。 その姿はまるでカブトムシやクワガタの様な甲虫を纏い、触角が何本も出ていた。 中身は…溶けてしまってよく分からない。 『これにて一件落着ね!』 『セラ、お前の野生の勘のおかげだな。』 シュンがそう言って私の頭をポンポンと撫でた。 「そ、そんな!野生の勘じゃなくてちゃんと考慮したのに…」 私は肩をガクッと落とした。 でも…。 シュンに叩かれた頭にそっと手を置いた。 『きもっ。』 背後から声がした。 「イツキ!な、なによ!?」 『べっつにー。』 イツキは不機嫌そうに向こうへ行ってしまった。 よほど私の選んだエリアに妖魔が現れたのが気に入らなかったのだろう。
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