からっぽの僕の心に

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次の日も、公園でひなたを見ている時にメールが届く。 『ひなたは元気にしているかい?』 『元気だよ』 ブランコをこぐひなたを見ながら返信する。 『君は自分には勇気がないと思っているだろうね。でも勇気を出さないと大切なものを無くしてしまう事になるんだよ』 突然そんな事を言われても困ってしまう。 『僕は弱くて臆病だから、勇気なんて持っていないよ』 『そう思っているのは分っている。でも君には僕のようになって欲しくないんだ』 僕のようになって欲しくないと言っても、未来の僕は僕なのだから僕は未来の僕のようにしかなれない。 『だって、無いものを出せと言われても出せないよ。勇気は他人から言われて出すものじゃなく、自分の中から搾り出すと言うだろう?でも僕の心の中に勇気はないんだ』 『勇気は他人から貰うものではなく自分が搾り出すものだとしたら、僕から言われて出た君の勇気は君から出た君の勇気と同じだろう?』 なんだかよく分からなくなってきた。 袖を引かれて気付くと、もう大分日が傾いている。 「まずい」 アイツの暴れる口実を増やしてしまった。 急いで帰って家の扉を開けると、アイツは既に玄関の中に立っていた。 酷い顔で睨んで僕らを動けなくする。 足元を指差してなにやら喚いているので、命令に従って手の届く範囲まで前進する。 風が吹いたかと思うと、固い音がしてひなたが吹き飛んだ。 もう動けない。 ひなたが地面とぶつかり鼻血を滴らせても、足も手も喉も震えて石になる事しか出来ない。 ひなたが泣いている。 アイツが近づいてる。 胸がジリジリと熱い。 喉がギリギリと締る。 手足が全く動かない。 僕には何も出来ない。 臆病な僕は動けない。 僕の心に勇気はない。 「お兄ちゃーん」 「やめろー!!!」 ひなたの泣き声に、僕は叫んでいた。
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