かなたへの旅路

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「海とは何か?」 ユーステノプテロンたちにとって、それは至上の命題であった。 彼らの祖先は海からこの潟湖へとやってきた。厳しい環境に適応するため、彼らは肺での呼吸法を身につけ、短時間ながら地上で行動できる強靭なヒレを手に入れた。 しかし進化に要した長い年月は、彼らから故郷の記憶を奪い去った。 「海とは何か?」 その答えを知るため、潟湖からある若者が旅立った。一族の中でも特別強靭な肉体を持ち、そして冒険心に溢れた若者であった。 三日三晩、彼は慣れない陸上を歩き続けた。 大地を掴むヒレはボロボロだ。朦朧とする意識の中で、ただただ彼は進み続けた。 茂みを抜けると、突然視界が開けた。 彼の目に飛び込んだのは、見渡す限りの青い世界。同じ青でも、潟湖の暗い青とは違う。光り輝く、美しき青―― 帰ってきたのだ 初めて見たはずの海を前にして、こみ上げたのはそんな思いだった。
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