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仕事が終わり、今日も教習所へ急ぐ。 彼とのメールのやりとりを続けているけれど、教習所へは、行けたら行くね、という返事ばかりだった。 彼の姿を探す毎日。 メールをはじめて5日が経った。 学科の教習をひとつ受け、路上教習のキャンセル待ちでもしようと思っていた時だった。 ガラスの扉が開いた。 彼だ。 相変わらずの眠そうな顔で入ってきて、配車表を出している。 急いでいる様子で、私に気付くことなく路上教習へ出て行った。 教習から戻るのは約1時間後。待つことにした。 退屈している時にちょうどメールの着信音が鳴った。 桃子だ。 幼い頃に両親を亡くし、叔父夫婦に育てられたと聞いている。住み込みで働ける工場を見つけ、定時制高校に通っていた桃子は、土日だけ私の働いていたレストランにバイトに来ていた。 15歳にして自立していた桃子を、私は本気で尊敬していた。 『なにしてるの?』 『教習所 例の人待ち伏せ』 桃子には佑典くんのことももちろん話していた。 『ストーカーになるなよ』 その文字に吹き出したけれど、笑い事ではないなとまた笑った。 ガラス張りの館内から見える空は、少しずつ暮れている。夕日に染められた雲は、濁ったピンク色に見えた。
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