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修二さんの車が店の前に来ると、それじゃあ、と頭を下げて森谷さんと別れた。車に乗ってから、森谷さんのことを何か聞かれるかと思ったけれど、姫も修二さんも特に何も言わなかった。 12月に入り数日が過ぎると、私の誕生日が近付いてきた。 ここ何年かはクリスマスもお正月も桃子と一緒だった。寮生活だった桃子は、外出届を出しよく私の家へ泊まりにきていた。今年からは桃子も彼氏と過ごすだろう。寂しいのは、桃子と過ごせないからだけではない。 「凛ちゃん明日誕生日だよね?」 朝礼が終わると、姫が耳元で言った。 誕生日は特別休暇で、仕事は休みをとることになっていた。 「うん」 「明日夜ご飯行ける?」 私はうん、と笑った。 翌日は久しぶりにお昼過ぎまでベットにいた。 桃子からおめでとうメールが届いている。平日なのでこの時間はまだ学校だろう。佑典くんも、大学だろうか。私も同じ大学に行けば、理由を作らなくても佑典くんと毎日会えたのに。 カーテンを開ける。窓の水滴が垂れている。天気は良いようで、差し込んでくる光が虹色に見えた。 胸のささくれが、ますます裂けていく。 心から笑える時が、もう永遠にこないような気がした。
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