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夕方になるまでただ部屋で無駄に時間を過ごした。 この部屋に染み付いた私の髪のにおいより、石油ストーブの灯油のにおいの方がもう強くなった。ベットに座って白い壁を見ていると、佑典くんの部屋を思い出した。 心と同じにささくれた指先。あの時握った手の温もりはとうに消えた。こんなに彼だけを思っている自分の執念に疑問さえ感じる。 急に涙が溢れ止まらなくなった。毎日これが嫌な夢ならよかったのにと思って眠りについても、目が覚めればまた寂しい。私はいつまでこんな日々を過ごすのだろう。 でも、まだ思いも望みも捨てきれない。 「凛ちゃん?もう着くよ?」 定時で仕事を済ませたようで、姫からの電話は5時半を少し過ぎ頃だった。 うん、と答え家の前に出ると、予想通り修二さんの車が玄関の前につけていた。 「お疲れさまです。わざわざありがとうございます」 後部に乗り修二さんに挨拶した。 「全然。あ、もんりーも来るから」 修二さんはさらりと言ったけれど、それが森谷さんのことだとすぐに分かったし、彼を呼んでいることも想定内だった。
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