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少し手を動かすと、花束の包みがパリパリと音を立てた。その透き通った包みの上に涙が落ちた。瞬きをする間もなく、大きな粒になっていた。 「凛ちゃん?」 こんな場で泣いてしまい、どう事態を収集すれば良いのだろう。 悲しいわけではい。こんな自分がたまらなく嫌になった。 「大丈夫だよ」 森谷さんはそう言った。何を聞いてくるわけでなく、ただそう言った。 「ごめんなさい」 涙が止まってから私が言った言葉にも、森谷さんは大丈夫だよ、と答えた。 「ありがとうございました。本当にすみませんでした」 そう言って車を降りようとした時、少し言いにくそうに森谷さんは言った。 「連絡先、教えてもらってもいいかな?」 森谷さんと会ったこの2回、私はきっと愛想のない可愛い気のない女だったはずだ。 どうしてですか?と聞きたい気分だったけれど、はいと答え番号とアドレスを教えた。 「ありがとう。じゃあ、また」 私はまたはい、と答えて車を降りた。 はぁ、とため息が出た。 何をやっているのだろう。 とぼとぼと歩きはじめると、寒気がしてきた。 最近は、気持ちがずっと沈んでいるからか、キリキリと胃が痛む。
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