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誕生日から一週間ほど過ぎた頃、姫たちに誘われた。修二さんと森谷さんと4人で食事会だ。断る理由もない。
仕事が終わると森谷さんも私たちの会社まで来ていた。みんなで修二さんの車に乗った。
今日は少し高級そうな海鮮のお店で、森谷さんが決めたと言っていた。私の知らない世界が広がる。
森谷さんは今日もスーツでいつものワックスの匂いがしていた。
店を出ると突然の雨。
「雨降るなんて言ってなかったのになぁ」
修二さんの呟きに、すぐやむよ、と姫が答えた。
すぐにアスファルトに溜まるほどの豪雨になり、ワイパーが間に合わないほどフロントガラスに雨が流れた。
「どこかで雨宿りしようか?」
姫の提案にみんな同意した。
修二さんの車は佑典くんたちのバイト先『アシスト』に繋がる国道を走っていた。姫に佑典くんが『アシスト』で働いていると話したら記憶はない。
「アシストは?」
私は胸の騒ぎを押さえて提案した。
「アシスト?」
助手席の姫が後ろを向いて言った。
「確かダーツバーだよね?ビリヤードもあったかな」
森谷さんが答えると、懐かしいな、と修二さんが言った。
二人が学生の頃よく遊びに行っていた話で盛り上がり、久しぶりに行こうと『アシスト』を目指すことになった。
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