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その日高橋さんから教わったのは受付業務で、簡単なパソコンの打ち込みだった。担当者が登録してあり、『藤原』という佑典くんの名前を見るたび、胸が高鳴った。 業務は受付担当のフロントと、清掃や巡回担当のフロアに分かれていて私はフロント業務のようだった。男の人でフロントに入るのは佑典くんだけのようで、それを聞かされた時、いつか一緒にフロントに立てるかもしれないと淡い期待を抱いた。けれど、後々聞かされるその理由は、知りたくない現実だった。 『来週末空いてる?』 休憩へ入ると、森谷さんからメールがきていた。 『夕方からなら』 深く考えずに返信したところで、来週末がクリスマスだと気付いた。 『じゃあご飯どうかな?深く考えないで大丈夫だから』 私の考えを見抜いたような言葉が付け加えられている。 『いいですよ』 ここでバイトを始めたからといっても、私と佑典くんの実際の距離は、ちっとも近付いてはいない。 痛すぎる女になってしまっていることは充分すぎるほどに分かっている。 私の心を、返して欲しい。
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