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「あ、連絡先、教えてもらえますか?」
積極的すぎる私に、彼は少し顔を赤くして笑った。
「いいよ」
彼がポケットから携帯を出し、赤外線で番号とアドレスを受け取った。
素直にただ、ただ嬉しい。
「いつでも連絡して?暇してるから」
「はい」
その言葉に、彼女はいないのかなと勝手に想像した。
「あ、梶きた」
もう少し二人でいられると思ったけれど、今さら梶くんが登場した。
「おそっ。学科とっくに始まったし」
「え?入ればよかったのに」
梶くんはサラサラした黒髪を何度もかきあげた。
「もーだるくなった」
「あ、そ」
と言った後で、梶くんは手をあげて私に挨拶してくれた。
それから佑典くんの隣に座ってから言った。
「直正は?」
「今乗ってるって」
「今日バイト?」
「そ。だるいな」
しばらく佑典くんと梶くんが二人で会話してから、佑典くんが私に言った。
「俺と直正、アシストでバイトしてるんだ。分かる?」
「はい。ビリヤード場?ですよね?」
「うん。最近ダーツもあるけど。また遊びにおいで?サービスするから」
「はい」
ビリヤードなんてしたことはないけれど、元気に答えた。そんなふうに誘ってくれるのが嬉しかった。
梶くんが来てからは、二人にしか分からない会話が続いていたけれど、佑典くんの隣に座っていられることが楽しかった。
話の内容で、佑典くんも大学生だろうと予想できた。
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