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咲は、すっかり興奮して頬を赤くさせてしまった。
「それでは、これより質問タイムとさせていただきます! 咲ちゃん! いかがですか?! 」
そう武志に言われた咲は勢いよく手を挙げた。
「あの、お願いがあるのですが……よろしいですか? 」
そう言って差し出された手には、Precious WarriorのCDアルバムが、しっかりと握られている。
「? 何? サイン? 」
「はい! お願いします! 」
アルバムを受け取った達美は、武志に向き直った。
武志が黒いマジックペンを持ってやってきて、二人はアルバムにサインを描いた。
「おなか、さわってみる? 」
達美が言うのは、彼女の膨らんだおなかのことだ。
咲は、興奮しながら、中にいる赤ちゃんを傷つけないように、恐る恐る手を伸ばす。
思ったより、硬い。
「ありがとうございます! それと、もう一つお願いがあるのですが……」
咲は恥ずかしさがあるのか、おずおずとアルバムの表紙をしめした。
表紙には、あの椅子に座り、武志に膝を預ける達美の姿が。
「あの、この写真と同じ格好をしていただけませんか? 」
今度は、達美がドギドキする番だ。
えーと意味にない言葉を吐きながら、達美は真っ赤な顔で武志の方を見て、人差し指をつんつん合わせている。
「じゃあ、やる? 」
それを見た武志も、顔が赤くなっていた。
夜の海は、今も月の光を受けてキラキラと輝いていた。
舞台の上で達美はギターを置き、『せっかくだから』と店側が持ってきた高級そうなアンティークのイスに座った。
そして武志が彼女の前に跪き、その膝に手を置き、太ももに頭を預けた。
その上から、達美の大きな、3つの優しいふくらみが……。
咲のスマホについたカメラのフラッシュがたかれた。
他の客も、感嘆の声を上げる人、ともに写真を撮る人、様々だ。
「ところで、義和? 」
咲の母が夫に困惑の声をかけた。
「ちょっと、長い気がするな」
夫の言うとうり、これから子供を迎える夫婦は、フラッシュがたかれなくなっても、そのまま抱き合い続けた。
咲は、それを見てこれまでに感じたことのない快感を味わった。
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