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「もう……諦めようよ。私達じゃ、見付けられないよ」
リカちゃんが泣きそうになりながら、僕達に呟いた。
「お腹が空いたら帰ってくるよ……多分」
ユウくんの言葉に、誰も反論しなかった。
丸一日経っているのだ、お腹なんて、空いているに決まってる。
それでも僕達が反論出来なかったのは、この時にはもう諦めていたのかもしれない。
その夜……お父さんとお母さんの話し声が僕の部屋にも聞こえてきた。
「……タクちゃん、見付からなかったの……ええ、明日もまた探すわ……春休みになったばかりだっていうのに……」
警察と、近所の人達で探してもタクちゃんは見付からなかった。
まだかくれんぼは続いてるんだ……僕が見付けなければ。
いつもタクちゃんは、僕が見付けられないと隠れている場所から声を出して教えてくれる。
昨日は……それがなかった。
「タクちゃん……どこにいるの?」
僕は、眠気に耐えきれずに布団の中で丸まりながら眠りについた。
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