道具屋さん

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とりあえず、助けてほしそうだったので、訪問販売用の回復薬をありったけ使ってなんとかこの魔王を回復させました。 「くぅ……なんとか助かったが……魔力がまだ戻らんようだな。娘よ、礼を言おう。この魔王、相手が人間と言えど助けてもらった恩は返す。さあ、望みを一つ言ってみろ」 その場に立ち上がり、不気味な笑顔で私を見下ろす魔王に、道具屋歴13年で培われた笑顔を向けて、手を出す。 「回復薬代、350G(ガバメント)になります。えへっ」 「も、萌え萌えキューン!!」 お店で笑顔を向けた時も、お客さんがよく同じ事を言うけど、どういう意味なんだろう。 「む、娘よ……ワシを萌え萌えさせるとは恐ろしいやつよ!しかし、たった350Gで良いとは欲のないやつ!良いだろう!そんなはした金が望みなら、今すぐにでもくれてやるわ!ふはははは……」 そう言って、魔王はブーメランパンツの右側をまさぐったけど……そこに何もないのは一目瞭然。 辺りをキョロキョロと見回して、必死に何かを探しているようだったけど、結局見当たらないようで。 「……さ、財布。落としちゃったみたい」 この世の終わりのような顔をして、目に涙を浮かべて私の顔をジッと見詰めていた。
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