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「ミヅキちゃん、メイド喫茶ってね?
ただ、注文された飲食物を運ぶ人がメイドの制服来てるってだけで、基本的にはただの喫茶店だよ。
その服装もさ、メディアで取り上げる所は、ミニスカートにニーハイソックスってやつでフリフリたっぷり…的なものが多いんだけど
中にはそのままモップ持って掃除でもしだすんじゃないかって位の黒っぽいだけの地味なメイド服の所もあるんだ。
メイドの伝統を重んじていて、そんじょそこらの喫茶店より数倍美味しいコーヒーや紅茶を出してくれるメイド喫茶もあるくらいでね。」
「ちなみにそこのお店は…」
タブレットを再び覗き込む。
「その中間かな?スカートも膝下丈くらいで、上からかけてるエプロンに少しフリルが付いてるだけって感じ。確か、挨拶も普通に『いらっしゃいませ』だしね。」
だ、だったらいけるかな…。
「今回のストーカー騒ぎはさ、榊原サイドってよりも、高田彩希サイドからアプローチしてみた方が近道かなって思うから…お願い出来る?」
カケルさんの表情は、笑ってはいるけれど、私が首を縦に振らない限り視線を逸らしてくれないだろうと言う位真っすぐ私に向いていて、ずっと見てると吸い込まれそうな程深い色をしている瞳に、少し恐さを感じた。
…やるしか、ないよね。
「高田彩希と接触するって事でいいですよね」
「基本的にそれが目的。本人からの情報収集と本人の身辺調査。」
「わかりました。やります。」
でも、ここはやっぱり…ね。
隣で我関せずとゲームをしているソウタに目を向けた。
「よし!ソウタ!行くよ!」
「は、はい?」
突然私に腕を引っ張られてソウタがその反動で立ち上がる。
「私一人じゃ不安だし。」
「あ、あなたね、カケルの話聞いてた?!メイド喫茶だよ?どうやって俺が潜入すんのよ。客で行った所で仕事中の彩希と大して話も出来ないしさ。」
慌てて私の手を振り払うソウタニヤリと笑う。
「それはほら、上手く変身しちゃえば…ねえ?」
ソウタは青ざめ、他の4人は面白そうに笑った。
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