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「い、いや、いや。あのね、いくら変装した所で、あいつには絶対バレるから。」
「いいじゃん、バレたって。それでどうなるって程、軽い仲でも無いでしょ?寧ろ、会いに来てくれたって喜ぶんじゃない?」
サラッ言った私にソウタは絶句し、カケルさんは感心した様に腕を組んで形の良い目を見開いた。
「ミヅキちゃん結構ディープな所まで聞き出してたんだね…。」
「はい!俺、客で行く!」
突然ミヤビが目を輝かせて勢い良く手を真っすぐ上げたら、ソウタが耳を真っ赤にして慌てだす。
「来んな!つか、俺はやるって言ってないし。ねえ、カケル、言ってやってよ。そんなふざけた事許されないってさ…。」
「いや…待て、ソウタ。
その発想なかったけど、良いかも。
ソウタには直接会いに行って貰ってって二重構造考えてたけど、そう言う方が案外色々話してくれるかも。さすがミヅキちゃん。」
「う、嘘でしょ…カケルまで。」
「カケルさんまで変なスイッチ入ったな。とりあえず、俺とミヤビは客で行くから。」
「カ、カイトは来ないで!!」
「はあ?!俺が行かなくて、誰がお前のメイド姿見るんだよ!」
「うるさい!カイトだけには見せたくないの!」
私とカイトのやり取りに、すかさずミヤビが横やりを入れる。
「大丈夫だって!ミヅキちゃん!メイドの格好、ソウタの方が似合っててもカイトは幻滅したりしないよ!俺もだけどね!」
「ミ、ミヤビも来ないで!」
「そうだ、お前は絶対来んな!つか俺はやらない!」
ごちゃごちゃしてきた言い合いを切る様に、ソウタが乱暴に椅子り、口を少し尖らせた。
ソウタってひねくれ者だよね。
今回の依頼に彩希さんが関わってる事を、少なくとも名前が出て来てる事を誰よりも気にしてるに決まってるのに、その色を見せない。
だからさ、少し荒療治かとは思うけど一緒に行った方が良いって思うんだよ。
「ソウタ…彩希さんがアキバに居る事を手放しに許してる訳じゃないんでしょ?
確かにさ、これは榊原の依頼から来てる別ケースだけど、巡って来たチャンスだと思うよ。」
ソウタの煌めきの多い瞳が揺れた。
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