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尚人の動揺には気づきもせず、淳は再びドライヤーのスイッチを入れて温風を当てはじめる。
――ナオ先輩って呼ばれた。綺麗だって、サラサラだって、褒められた。
それに好きって……。
髪の毛のことだとは分かってるけど、その響きにはついドキッとしてしまう。
彼の言葉を反芻しながらぼんやりしているうちに、ドライヤーの音はするのに風が当たらなくなっているのに気がついた。
えっと思って振り返ると、淳は自分の髪を乾かしている。
「ま、待って!」
とっさに勢いよく起き上がり、ドライヤーに手を伸ばす。
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