7331人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、杉田くん……」
尚人は言いかけて口をつぐんだ。
――無理っ! 聞けない! だって、もし違ってたらとんでもなく恥ずかしい勘違いだ。
「髪乾かすから、横になってください」
淳がドライヤーを片手にそう言ったので、パニックになった。
えっ、ほんとに!? ほんとにそうなの!?
もういっばいいっぱいで、どうしていいのか分からない。
絶対無理だと思いながらも、本当はどこかで惹かれているのを感じる。
でも、勇気が出ない。ハードルが高すぎる。
「おいで」
やっぱり断ろうとしたとき、ふいに腕を引かれた。
「わっ」
そんなに強い力ではなかったけれど、途方に暮れていたので簡単にぐらりと体が傾く。
気づけばそのまま彼の膝に横たえられていた。
最初のコメントを投稿しよう!