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「尚人!」
「尚くん!」
満面の笑みで迎えてくれたのは、幼馴染の橋本祐樹と堀内和美だった。軽く手を上げてふたりに応える。
駅から実家まではひとりで帰るつもりだったが、ふたりは休みだからと迎えに来ると言って聞かなかった。
「ひさしぶり」
改札を抜けふたりの前に立つと、憂鬱さなど微塵も見せぬよう、尚人も笑顔で挨拶を交わした。
「おう。荷物持つよ」
断るよりも早く、軽々と荷物が奪われる。
「ちょっ」
「いいからいいから」
祐樹が白い歯を見せてニカッと笑い、荷物を持っていない方の腕で肩を組んできた。
――馴れ馴れしくするなよ。
内心ぎょっとしつつも、むきになっても仕方ないので、諦めて一緒に歩き出す。
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