プロローグ

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「悪いな、迎えに来てもらって」 「全然」  久しぶりに会った精悍な友人を横目で見ると、いかにも会えて嬉しいという感じで、機嫌がよさそうに口角を上げていた。 くすくすと笑いながら和美もついてくる。  駅舎を出ると、真夏の日差しがまぶしかった。    ロータリー横の駐車場に停めてあった祐樹の車に三人で乗りこむ。 祐樹が運転席で、和美が助手席、尚人は後部座席だ。  三人は小学校からの同級生で、付き合いはもう約二十年になる。 同じ町内のいわゆるご近所さんだったこともあり、小中高とずっと仲がよかった。 「尚くん変わってないね」  車が走りだすと、助手席から和美が振り返って微笑んだ。 いつまでも学生をしている自分とは違い、社会人になってふたりはぐんと大人っぽくなった。 「和美は……老けた?」 「ひどい、綺麗になったとか言えないの?」  
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