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同い年なのに、私だけが敬語なのは、あくまで私達がビジネス上の関係であることを崩さないため。
社長とその秘書。
上下関係ははっきりしている。
「伊織は? 結婚願望とかないの?」
あ、はぐらかした。
「私、ですか?
……いい相手がいれば、そんな願望も湧くかもしれませんね」
「この間、南ちゃんに合コン誘われてなかった?」
あれ、そのこと気にしてたんだ。
「断りましたよ。
私そういうところで、お手軽に人生の相手見つけるつもりないですから」
「さすがは伊織女史。固いとこは固いね。
……ここはこんなに柔らかいのにな……」
「ちょ……っ、や……ぁ」
ふに、と私の中心部に埋もれる長い指。
「いい相手、見つかったら、ちゃんとおれに報告するんだよ?」
「ん……っ……」
くち、と身体の中から、卑猥な音が駆け上がってくる。
「これでも心配してるんだよ。伊織の老後」
「老、後、って、……どれだけ先の、こと、見てるんですか……っ」
ずぷりと奥に到達するうねり。
辛うじて成立する会話も、次第に私の甘美な声に変わっていく。
「ね、伊織……」
「……っ、あっ……」
「もっかい、シよ?」
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