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桜色のフレンチネイルの仕上がりと、最上のエステで洗練してもらった全身。
満たされる自負心に、自然と表情も緩む。
気分良く背筋を伸ばしてフロントに立ち、チェックアウト。
きりっとしたフロントクラークの男性が、「ありがとうございました」と物腰柔らかな笑みで頭を下げる。
私はここで、キーを差し出すだけ。
自前の財布を出すことはない。
今まで、ただの一度も。
これがより濃く、社長と私の関係をはっきりと裏付ける。
昔から変わらないこと。
あくまで、恋人同士ではない関係。
社長は既婚者なのだから、当然なんだけど。
私は、私を社長に差し出し、
社長はそんな私に、最上のもてなしをする。
そこに愛は無いのだから、
つまり、……‘そういうこと’だ。
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