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そんな私の心情を察するわけもなく、妹尾さんは諦めずににこりと微笑んだ。
「またあらためてお誘いしてもいいですか?」
遠まわしに濁した返事をものともせず、次の機会をうかがってくる。
「というか、誘います」
「えっ」
柔和な笑みの中に、極わずかな気迫が顔を覗かせる。
かと思うと、妹尾さんはまた口角をやんわりと上げた。
「今日はどちらまで行かれる予定ですか?」
「お、大通りの方まで出てみようかと思ってました」
「そうですか。
でしたら、今日はそちらまでお送りさせてください」
「えっ! で、でも、それはあまりにも……」
「せっかくの機会なんです。
ちょっとだけ、ドライブにお付き合いいただけませんか」
ほぼほぼ押し切る形で、「車回してくるので、ちょっと待っててください」と、ラウンジのソファで待つように促された。
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