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それを見守る社長の視線が、気配を寄越す。
何か私に対して思う所がある様子の社長を、首をかしげて見やった。
「あれから、君の気持ちがどうか、気になってたんだ」
長い脚を組み、ほっと息を吐く社長。
やんわりと細められる目元に、邪な気持ちはなくどきりとする。
「大丈夫か、なんて、オレに何ができるわけでもないのに軽々しく聞けなかったから」
ゆらりと椅子を揺らし、社長は組んだ手で膝を抱えて悠然と私達を見上げる。
「そんな軽々しくだなんて……」
「まあ、いろいろあるんだよ、男には」
くすりと笑いを零す社長は、同意を求めるように妹尾さんに視線を移す。
つられて辿ると、妹尾さんはイエスともノーとも言わずに、社長とだけ視線を交わした。
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