最終章

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「でも、よかったよ。  ふたりを見て……安心した」 ついさっきまであったビジネス上の関係性が、不意にほぐれたのがわかった。 背徳に及んでいた、私と御崎くんの間にあった男女の結びつき。 それを断ち切ろうとしてくれた妹尾さんの正義感と優しさと、ほんのちょっとの強引さにほだされた。 今ここにあるのは、その過程を経てようやく落ち着いた空気。 「妹尾さん、……有坂のこと、よろしく頼むよ。  今まで何にもしてあげられなかったから、その分、うんと甘えさせてあげてほしい」 先日言ったとおり、社長はまるで私を嫁に出すような父親の顔をする。 「当然です。最初からそのつもりですから」 「やっぱり手厳しいな、妹尾さんは」 社長に対して、少しだけ棘を含めるのも最初から変わらない。 あまり快く思っていない雰囲気は、社長の前でもブレることはないようだ。
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