最終章

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だけど、社長が妹尾さんに信頼を寄せているのは明らか。 そこに従順な姿勢を見せるのも、また妹尾さんが社長を敬っている証拠。 きっと二人の間には、私にわからない何かが存在するんだろう。 「話は以上だよ。悪かったね、時間取らせてしまって」 「いえ」 「とんでもございません」 息を合わせたようなふたりが、同時に頭を下げた途端に戻ってくる上下関係。 社長との関係を正常なものに戻したのは少し前の話だけれど、ちゃんと恋人同士になってから妹尾さんとのことを社長の前で知らしめるのは、今日が初めて。 なんだか、正式に交際を報告したような空気に、今までのことをすべて清算したような気分だ。 そしてこれから私達は、ただひたすらに極上の幸せを感じられる人生を歩んでいく。 私は妹尾さんと、社長は社長の道を。 「それでは、失礼いたします」 「失礼いたします」 妹尾さんと視線を交わし合い、退室する私達を、社長のおおらかな笑顔が送り出してくれた。
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