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「……だった、ら……」 足元に落ちる樋口さんの声は、細く震えた。 「……どうすれば、よかったんだ……」 「どうするも何も、真正面から口説けばよかったでしょう」 しばらくぶりに聴こえた妹尾さんの真っ直ぐな声。 闇夜の空気を淀みなく通ってくる音に、胸は素直にときめいた。 「勇気がないからと姑息な手を使うのは、同じ男としては肩を並べたくない。  好きなら好きだと、はっきり言葉と態度で示せばいいだけじゃないか」 妹尾さんはそう言うと、振り返りこちらへと歩み寄ってくる。 近づいてくる強烈な気配に、心から溢れるほどの想いが全身を震わせた。 「……もういいでしょう。  彼はご覧の通り拘束されています。  いつまでもそうやって縛り付けるのは、やめていただけませんか」
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